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日本文学史2

日本文学史 近代編

 日本文学専攻の2年生の必修科目で、日本文学や文学全般についての基礎的な知識を習得することを目的としている。
 「日本文学史2」では、主に明治時代以降の日本の文学を扱う。
 江戸時代と明治時代の間に境界線を設け、明治時代から「近代文学」が始まったとするのが従来の「文学史」の大きな枠組みとなってきた。現在その枠組みは様々に批判され見直しが行われてはいるものの、「古典文学」と「近代文学」という区別は様々な形で残り、力を持ち続けている。もちろん、江戸時代に書かれていた表現と明治時代以降に書かれた表現の間に差違はあるし、またヨーロッパ・アメリカ由来のliterature、novel、poetといったジャンル・概念が「近代」になって紹介・導入された影響は大きい。その結果日本においては「文学」「小説」「詩」といった言葉が意味するものが大きく変容していった。
 この講義では100年前の明治時代後半から大正時代(19世紀末・20世紀初頭)に注目して、その時期に表現やそれを支える思想に起こった変化、そこで生まれた新たなジャンル・概念について解説する。そして、たとえば夏目漱石や正岡子規や萩原朔太郎といった作家の作品にふれつつ、どのように彼らが「近代文学」を、また「小説」や「俳句」や「詩」を代表する特別な名前になっていったのかを考察する。

第1回 9月14日
 講義の進め方について・「近代」/「文学」について
 
第2回 9月21日
 コミュニケーションとしての文学
 プリント:中村興二・岸文和編『日本美術を学ぶ人のために』
第3回 9月28日
 小説の芸術性について
 坪内逍遙「小説神髄」他
第4回 10月5日
 小説の娯楽性について
 プリント:「浮城物語」論争関連
第5回 10月12日
 「浮城物語」の系譜
 「私小説」について
 プリント:私小説関連・志賀直哉「濠端の住まい」
第6回 10月19日
 小テスト 第1回
 「私小説について」(続き)
 「詩」概念の変化について
 プリント:近代文学者の漢詩・『新体詩抄』
第7回 10月26日
 小テスト返却・解説
 新たな〈詩〉における形式の変化と問題
 プリント:島崎藤村「若菜集」他

(11月2日 大学祭のため休み)

(11月9日 一身上の都合により休講)

第8回 11月16日
 口語自由詩の〈詩〉性について
 プリント:萩原朔太郎「月に吠える」他

(11月23日 祝日のため休み)

第9回 11月30日(補講)
 定型短詩の「進歩」について
 プリント:正岡子規「歌よみに与ふる書」他
第10回 12月7日
 「俳句」というカテゴリーについて
 プリント:正岡子規「俳諧大要」他
第11回 12月14日
 小テスト 第2回
 「演劇」というカテゴリーについて
 プリント:坪内逍遙「我が国の史劇」他
第12回 12月21日
 小テスト返却・解説
 芸術としての演劇・演劇改良の方向性
 プリント:イプセン「人形の家」他
第13回 1月11日
 リアリズムをめぐる対立
 プリント:泉鏡花「夜叉ヶ池」他
第14回 1月18日
 批評ジャンルの確立
 プリント:斎藤緑雨「小説八宗」
第15回 1月25日
 小テスト 第3回
 全体のまとめ


終了しました。

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